お知らせ|ツイッター更新再開しました!

【大学編入合格体験記】今の学部が自分に合わない…本当に学びたかったことは編入学で叶えられる!

woman in white long sleeve shirt sitting on chair while reading a book
Photo by Andrea Piacquadio on Pexels.com

 大学に入学する前とした後で、学部のイメージが全く違った…。
受験で失敗して第二志望の大学に来たが、全くやる気が出ない…。多くの大学生がぶつかる、『自分は今の大学で何がしたいんだろう?』という壁。そのまま今の大学に通い続けて身につくものはあるのか?本気で大学生活を180°変えたい人に読んでほしい、大学編入合格体験記!


編入学試験と一般入試の違い

編入学試験の定義とは

 編入学試験は、全ての大学や学部で毎年行われているとは限りません。多くの場合、欠員募集の一環として行われます。2年次編入、3年次編入、4年次編入が存在しますが、一般的なのは3年次編入で、大学や短大、専門学校において指定された単位を取得した(または取得見込み)状態でのみ、受験が可能です。

❶短期大学(外国の短期大学及び、我が国における、外国の短期大学相当として指定された学校(文部科学大臣指定外国大学(短期大学相当)日本校)を含む。)を卒業した者(法第108条第7項)

❷高等専門学校を卒業した者(法第122条)

❸専修学校の専門課程(修業年限が2年以上、総授業時数が1,700時間以上又は62単位以上であるものに限る)を修了した者(法第132条)

❹修業年限が2年以上その他の文部科学大臣が定める基準を満たす高等学校専攻科修了者(学校教育法施行規則第100条の2)

引用元:文部科学省(大学への編入学について:文部科学省 (mext.go.jp)

試験では何が問われるか?

大学生

 高校までの5教科の知識を問われる大学の共通テストや一般試験とは異なり、編入学試験では主に「入学した後に必要となる知識」が問われます。

 例えば、経営学部に3年次編入するためには、一般的な経営学、簿記、マーケティング論の基礎をすでに学んだ状態で試験に臨む必要がありますし、外国語学部を目指すのであれば、基本的な文法事項や会話能力を持っている状態は必須です。
極端な話、高校までに授業で習うような問題はほぼ出ないと考えて大丈夫です。

編入試験一般入試
対象大学や短大、
専門学校など国が
指定した課程を修了した者
高等学校を卒業した者
試験の時期大学によるが、
ピークは9月~11月
早いところで6月。
二次募集などがあれば
2月頃まで実施される。
1月~3月頃
試験内容志望した学部の専門知識高等学校レベルの問題
面接内容①志望理由
合格後の履修計画について
今までに学んだ知識についてなど
①志望理由
②これまでに頑張ったこと
③将来のビジョンなど

編入学受験を決める前に知っておくべきポイントは、この3つ!


教室

1. 編入学試験の情報は公表されないことが多いので、実際に志望校のオープンキャンパスや入試相談の機会を利用して自分の足で情報を稼ぐことが合格への決め手となる。

2.入学後、すぐにゼミに所属するケースが多いため、まずは師事したい教授や所属したいゼミを決めるところから始める。
(特に3,4年次編入の場合)

3.志望理由は、「入学後に新しい夢や目標を探していきたいです!」ではなく、合格後の計画が具体的に立っていることが重要。「○○教授の下で○○を学びたいので御校を志望しました。」など


筆記試験の内容や難易度は?

教室

 正直、編入学試験における偏差値や、「あの大学は受かりやすいよ」といった基準はなかなか見つからないものです。ですので、募集定員に関係なく、受験者の学びや今後のビジョンが志望した教授やゼミの研究内容と合致することが最重要ポイントです。


 倍率についてですが、毎年人数が決まっている大学もありますが、常に「若干名」の募集となっている場合が多いです。次項の引用にて、昨年度の各大学の志願者数に対する合格者数の一例を載せています。


筆記試験

 目指す大学・学部・専攻によって様々ではありますが、公表されているものを参考に、自身の力に合っているのか見定めることが大切です。

 一般的な編入学試験は、志望する学部の専門知識に加え、英語などの外国語の筆記試験を行っています。最近では公式ホームページ上やキャンパス内の入試課などで、過去問題集を見ることが出来る大学が増えてきています。

 具体的には、志望している大学・学部の1,2年生と同等の学習量がなくては編入した後の授業に追いつけないので、その分の勉強が必要であると言えます。以下の引用は、各大学の募集要項に記載してあるものですが、やはり具体的な出題数や難易度は、実際の過去問題を入手するのが最善策です。

 一部の大学ではTOEICや実用英語技能検定など指定された資格や点数を取得していれば当日の外国語の筆記試験が免除になるケースもあります。募集要項を隅々までチェックしましょう。

・青山学院大学文学部:学部志願者33人中20人合格
   史学科…歴史に関する基礎学力問題(日本史、東洋史、西洋史、考古学)、英語の筆記試験

・埼玉大学教養学部:学部志願者152人中35人合格
   グローバル・ガバナンス専修課程…国際関係論・国際開発論分野の英文(出典は学術論文や学術書)を読み、複数の設問に解答、関連した論述問題

・東京外国語大学言語文化学部:学部志願者55人中16人合格
   言語文化学科…27か国語のうち志望する専攻語の筆記試験+その言語が使用されている地域に関連する問題

・法政大学人間環境学部:学部志願者情報なし
   …人間環境学部に関する基礎的な論述試験、英語の筆記試験

引用元:各大学の2021年度編入学試験募集要項より一部抜粋
    大学入学情報図書館RENA. 学部編入学の志願者数・合格者数(社会人含む)

口頭試問

 編入学試験は個別面接が多く、受験者1人に対して面接官は2~3人が基本です。自分が志望したゼミの教授が面接官の1人として話を聞いて下さることもあるので、その場合はありったけの熱意をアピールしましょう。また、多くの大学の編入学試験で主に聞かれる質問は以下の通りです。これはほんの一部ですが、これまでに在籍していた学校で何を学んできたか、そして合格したあかつきには何がしたいのかを明確に言語化するための対策が必須です。

面接

(例)
①どのゼミに入り、どのような研究を行いたいか。
②留学や院進学を考えているか。
③この先どのような論文を執筆したいか。
④その研究が社会にどのように貢献できるか。
 
                     

 また、コロナ禍の影響で2020年度以降オンライン形式での受験に切り替えた大学もあるため、筆記試験を省く代わりにオンラインでの口頭試問や志望理由書のみで選考が行われるケースも出てきています。


医学部から国際社会学部へ!編入試験を勝ち抜いた先輩にインタビュー

東京外国語大学/吉村もも

 2020年度3年次編入学試験において、山口大学医学部から東京外国語大学国際社会学部に合格した吉村ももさんにインタビューすることが出来ました!


医学部時代のエピソード

ゆうき

よろしくお願いします!
はじめに、医学部で学びたいと思ったのはなぜですか?

ももさん

よろしくお願いします!理由は大きく分けて3つあります。
高校の頃は理系科目が得意でした。特に化学と生物。
遺伝子工学に1番興味を持っていたので、自分には医学部が合うと感じました。
それから、私の母親が薬剤師だったのもあって、医学に関連した仕事に憧れていたのかもしれないです。
女性として、将来のために安定した専門資格をとって、働きながら子育てにも注力できる職業に就きたかったから、医学部の道を選びました。

ゆうき

高校生のときからビジョンがしっかりしていますね!
医学部生活はどうでしたか?

ももさん

必修授業の多さに圧倒されましたが、それでも「キャンパスライフを思う存分楽しむぞ!」と心に決め、
1人暮らしをはじめて、授業と両立しながら沢山友達を作って、部活を兼部したり アルバイトを掛け持ちしたりして楽しんでいました。

ゆうき

医学を学びながら兼サーではなく兼部!?
しかもアルバイトも2つ!
ずいぶんマルチタスクでしたね。お話からは充実した生活がイメージできますが…

ももさん

そうですよねー。確か入学して少し経った、1年生の5月頃に変化がありました。必修科目の課題に追われる日々で、ある日 顕微鏡を使う授業を受けていた時、顕微鏡をのぞきながら
「私、これがやりたかったんだっけ…?」という疑問を持つようになりました。
考えてみれば、この学部は、臨床検査技師になるためのカリキュラムに加えて特別に細胞検査士の資格を在学中に取るための授業が組まれていたんですけど、私の夢は臨床検査技師という職種自体よりも、専門資格が必要な安定した職に就くことだったので、そこにギャップが生まれたんだと思います。


自分のやりたいことをもう1度考えてみる

考える
ゆうき

その疑問を抱いてから、誰に相談しましたか?

ももさん

それを両親に相談したら、意外なことに、
「あ、やっぱり?何か違うとは思っていたんだよね」
返事がきたので驚きました(笑)
私が医学部に行く!と言っていたから両親は応援してくれていたけれど、本当は私以上に私の性格を理解していたんだなあと感じました。

ゆうき

ご両親さすがですね(笑) その時、医学ではなく何に興味があったのか、気づけたのですか?

ももさん

私の父親がテレビ局で働いているんです。それを小さいころからずっと見ていて、番組や舞台の裏側、報道とジャーナリズムに興味があったことを思い出しました。高校の頃、理系を選択してからは自然と報道のキャリアについて考えなくなってしまっていました。ですが、今この時に、本当に興味のある仕事を目指さなければ後悔する思ったんです。

ゆうき

いいですね。なにか道が開けたような感覚になりますね!
ちなみに、編入学という方法はいつ知ったんですか?

ももさん

実は受験の時、1番行きたかった大学は前期日程で不合格だったんです。
最初はそれが悔し過ぎて、どうにかしてリベンジできる方法はないのかと調べていた時に、すでに編入学という選択肢の存在を見つけていました。第二志望校の山口大に合格した時には、もうここで精一杯頑張ろうと決めたので、編入学の話はいつの間にかなくなっていました。
そして1年生の夏に、もう1度編入学の存在を思い出し、本格的に実行に移すための行動を始めました。


試験に向けて

参考書
ゆうき

こ、この参考書の量は!?

ももさん

これは私が1年間に勉強したものです(笑)下の方が編入学を決める前に使用した医学部の参考書で、上の方は社会学について学び始めたものです。

ゆうき

この写真だけでも、大学の単位取得と編入学試験対策の両立の大変さがわかりますね…!!
1年生の夏以降、どのように準備してきましたか?

ももさん

やはり1年生の頃は、1限から5限まで必修単位の取得に必死だったので、日中は大学の勉強、夜遅くに編入対策をしていました。1年生の夏休みに、東京や大阪にある編入試験に特化した予備校をいくつか見学しに行き、2つ通信制で対策講座を受けながら「何学部を目指すのか」→「どこの大学に行くか」の順で進路相談にのってもらいました。

私は自分の興味関心についてもう1度考え直した結果、社会学部でメディアやジェンダーを広くを扱っている大学を中心に進路選択をしました。東京外国語大学の国際社会学部は挑戦校として設定して、最終的に受験校は4つに絞って勉強を続けました。

ゆうき

○○大学に行きたい!ではなく、何を学びたいかが問われるのが編入学試験ですよね。そしてまた、予備校も2つ通ってる…!
でも、編入学試験は公開されている情報が非常に少ないので、予備校は自身の進捗状況や大学の情報を知るための力になったのではないかと思います。
予備校時代のエピソードはありますか?

ももさん

1日だけ挫折したことがありました…。

受験直前の夏休みを利用して東京本校に通い、担当の先生に志望理由書の添削をしてもらったんです。そうしたら散々駄目だしされたので、その日1日はもうどうにでもなれって感じでした。でも、もう立ち止まっている時間はないのですぐに切り替えて、より具体性のある志望理由書を書き上げました。書類選考に通過した時は驚きましたが、同時に自信にも繋がりました!


試験当日

ももさん

東京外国語大学の試験の流れは
①8月に1次選考を兼ねた志望理由書を提出
②その結果が10月に届く
③11月上旬に筆記(英語)・面接試験
④11月下旬に合格発表
 実は併願して受けていた他の3校の受験は東京外国語大学よりも早く終わったので、本命校に挑む前にいくつか合格をもらっている状態だったのはとても心の支えになりました。

ゆうき

面接では、どんなことを話しましたか?

ももさん

全く系統の違う学部からの編入ということもあって、合格したら何を学び、社会にどう役立たせたいのか」については相当深堀りされました。

私は受験期間で社会学を勉強して、ジェンダー問題についても興味を持つようになりました。私は最初医学の道を目指すにあたって、「女性として、将来のために安定した専門資格をとって、働きながら子育てにも注力できる職業に就きたいから」と言っていたのですが、そもそも、どうして女性がこのようなことを考えなければキャリア構築が出来ない世の中なのかということに疑問を抱きました。ジャーナリズムの専門分野と併せて、それを改善していくための学びを深めたいということを面接で熱弁しました。

ゆうき

ここで、最初に聞いたきっかけが関係してくるとは!!
今までのインタビューでは様々な方向に好奇心を持って幅広く挑戦しているのがももさんのイメージでしたが、実は全部繋がっていて、本当にやりたかったことの核心に迫ることができたのではないでしょうか。

ももさん

言われてみれば、そうかもしれないです!!
でも当日は、全く手ごたえを感じられなかったので、もう駄目だと思いながらキャンパスに別れを告げて帰ったのを覚えています(笑)

筆記試験は相当難しかったし、
面接では自分の考えや将来のビジョンは話せたけれど、面接官とも特に盛り上がることはなく…
もう、合格をもらった併願大学に行く覚悟はできていました。

ゆうき

そうだったんですね… でも、こればかりは本当に、最後までどうなるかわからなかったと思いますが合格出来て本当に良かったです!


編入した後の生活 

飛行機
ゆうき

今、編入学試験に無事合格して全く新しいキャンパスライフを送っていると思いますが、最近は何をしていますか?

ももさん

念願の新大学生活がオンライン授業になってしまいましたが、、新しい学部はとても楽しいです! 国際社会学部3年生として入学して、選択の幅が広がりました。面白そうな社会学の講義を履修したり、聴講したり、昔から好きだった英語の授業も多くとれて充実しています!

これからは、休学して、アイルランド留学に向けて準備をしています!

ゆうき

留学するんですね!具体的には、何を学びに行くんですか?

ももさん

コミュニケーション学群でジャーナリズムについて学ぶ予定です。新しく興味を持った分野が沢山あって、将来はジャーナリズムの職のなかでもどの媒体に進めばいいのか迷っているところなので、この留学を機に自分の意向に合ったキャリア構築が出来ればいいなと思っています!


「私にとっての編入学試験」をひとことで表すと…

ゆうき

貴重な体験談をありがとうございました。
最後の質問ですが、ももさんにとって、編入学とはどのようなものでしたか?

ももさん

『リスキーな崖っぷちでもあるターニングポイント』ですね。

本気で変わりたいと思っていたり、モチベーションを維持する力や並外れた向上心がなければ達成できなかった、非常にハイリスクな挑戦だったと思っています。

また、この受験を機に自分が人に恵まれていると気づくこともできました。
もともといた山口大学にも大好きな友達がたくさんいて、1年生の冬に編入学を決意した際、「いなくなっちゃうのはさみしいけど」と言いながらも多くの人が応援してくれました。そして誰よりも理解があり、自分のやりたいことをやらせてくれた家族にも感謝しています。この環境があったからこそ、最後まで戦い抜けたのだと思います!


おわりに

 大学入試の中では非常にマイナーである編入学試験について、実体験をもとに紹介させていただきました。インタビューを受けてくれた吉村さんは編入後に留学という夢に向けて日々勉学に励んでいますが、もちろんそのまま2年で卒業して就職する人もいれば、院進学をする人もいます。自分の意志をもって大学に通うことでさらなる成長が見込める編入生の「新しい舞台」への挑戦が楽しみです!

 マイウェイ部では、「留学経験者へのインタビュー」や、「長期インターンで活躍する学生」についても紹介しているので、興味がある方はぜひチェックしてみてください!


執筆者 ゆうき

千葉県出身、大学3年生。スペイン語学を専攻しています。趣味はダンスと書道で、現在は社会に出た際に直接活かせるSNSの運用について勉強中です。マイウェイ部ではライターとして記事の執筆をしています。