Mpreaso合同会社CEOを務める、学生起業家の田口愛さんにインタビュー!
前編では彼女がチョコレートやガーナに興味を持つようになったきっかけや、工場立ち上げまでの想いをお聞きしました。
後編では、カカオ革命についてもっと詳しくインタビュー!
実際にガーナで活動してみて感じたことや今後の展望についてお伺いしました。
*前編はこちら→カカオ革命を起こす22歳の現役女子大生・Mpreaso合同会社CEO 田口愛さん[前編]
Mpreaso合同会社CEO / 田口 愛
1998年岡山県出身。Mpreaso合同会社CEOを務める、国際基督教大学3年生。
ガーナでカカオ革命を起こす22歳として、全国各地で講演会・ワークショップなどの活動も精力的に行う。
★クラウドファンディング公式HP
https://camp-fire.jp/projects/view/271737
★Mpreaso合同会社公式HP
https://mpraeso.jp/cacao-revolution/
★Instagram
https://www.instagram.com/ai_._0810/
★Twitter
https://twitter.com/ai_ghanacacao?s=20
「カカオ革命とは」
確かに政府がいつでも買い取ってくれることは農家さんの安心に繋がっている面もあります。
しかし、カカオの質で買い取るのではなく、量で買い取っていることに問題があります。その為、農家さんの中には、木くずなどを入れてかさ増しする人もいる現状です。
それでは、せっかくショコラティエさん達から使いやすいと評判のガーナのカカオなのに、悪事が働く事で使えるカカオの量も少なくなってしまいます。
良いカカオ豆も、悪いカカオ豆も、量が同じであれば同価格なので。
そんな現状があったんですね。それでは農家さんのカカオに対するモチベーションも上がらず、カカオ産業から撤退してしまう農家さんも出てきますよね。
そうなんです。実際にガーナでは金が取れます。
そっちの方が短期的に見たらお給料もいいので、カカオ農業を辞める人も出てきている現状なんです。 このままでは、カカオ業界に「負の連鎖」が続いてしまうんですよね。
なるほど…。
そこで、愛さん達が「負の連鎖」に歯止めをかけるべく今の活動を行っているんですね。
そうなんです!5つの柱を総じて、「カカオ革命」としています。
具体的には、生産者意識・生産・市場・消費者の意識・還元の改革です。
生産者と共に、カカオ豆の質について学び、生産方法を見直す。
その後、市場である日本に届け、チョコレートを食べた消費者にガーナの人達のことを考えてもらう。そして、その対価をしっかり現地に還元する。
このような道のりでガーナ革命を起こしていきたいと思います。
「カカオ革命」には、具体的な道のりがあるんですね!応援しています!
「幸せセンサーにょきにょきの現地の人達」
カカオ革命のお話から、長い間現地に滞在していたようですね。
ガーナはどんなところですか?
現地の子供達は、過重労働させられているような可哀想な状況があるというイメージばかりもたれがちですが、実際は明るい人達も多いんです。
確かに、日給1〜2ドル程で生活水準は高いわけではないのですが、たくましく生きる彼らの姿は素敵だなと、いつも思います。
思いやりのある方が多いんですね。
日本よりも、仕事に対して前向きな姿勢があるように感じます。
そうですね。私が現地の人に惹かれた一つの要因として、前向きな姿勢があります。
現地に初めて行った時は、やっぱり「医療無いんだ」「教育無いんだ」「お金無いんだ」と現地のイメージに目がいってしまい可哀想に思ってしまっていたんですけども、現地の人達と生活しているとすごく明るくて、いつも笑い声が溢れているんです。
なんでだろうと考えた結果、現地の人達は、「ない」ものを探し悲しむんじゃなくて、今「ある」環境に対し幸せを見いだし、笑っているんです。
そういった人間性を持っている人達が多いんです。
幸せを感じるセンサーが、彼らの身体中からにょきにょき生えている感じです。
彼らにとって、世界はとても彩り豊かで、私も彼らに出会ってからいっぱい笑うようになりました。
色々なことに幸せを感じられるってスゴイことですよね!
愛さん自身、彼らに出会う前と後で変化したことはありますか?
ガーナに行くまでは、「人生楽しい!」とかそこまで思ったことがなくて、暗い性格だったんです。
なんですけど、帰国後は、食事・水など色々なことに幸せを感じられるようになりましたし、支えてくれる人達に感謝するようになりました。本当に彼らに出会えてよかったです。
彼らを助けたいという上から目線ではなく、大好きな彼らと一緒に良い世界を創れないかなと対等な目線で活動しています。
「ペン1本・ノート1冊で変えてしまう現地の人の価値観」
彼らをリスペクトされているからこそ、一緒に働いているんですね。 現地の生活で困ったことなどなさそうですね!
んー、そうですね。
現地の人は好きですけど、裏切られてしまうことも多かったです。
私の持っているスマホやカメラ以外にも、ペンやノートでも現地の人にとってはすごく目新しくてキラキラしていて、盗んじゃうとか。
最初は「一緒に頑張ろう」と遠い未来を描いていた人達からも、お金を取られてしまうとか。周囲に日本人の方がいない中だったので、大変でした。
生活必需品も盗まれてしまう状況下で、どのように対策されていたんですか?
そうですね。彼らを怒っても仕方ないと思っていまして。
というのも、一緒に描いた未来があっても、目の前で日給以上のお金を渡され、「工場の設備を造るから」とお遣いを頼んでお金に目が眩んでしまうのは仕方ないことだと思います。
彼らを責めるよりも、自分の行いを反省し適切な距離感を保つようになりました。
現地に行く度に、「いつも来てくれてありがとう」と歓迎してくれる人が多いので、私自身とても嬉しかったのですが、私がいなくても成り立つ仕組み作りをしていく為にも自律の促進を見守るようにしました。
また、私がスマホやカメラを持って行くことで、彼らが欲をかいてしまうことがあるのは彼らにとって健全ではないと思うので。
現地にいる間は、現地の服を着たり、ペンやノートを持たないようにしたり、同じような生活を送ることに心がけています。
心がけていても何も持たずに生活することは難しいですよね。
そうですね。10人に1人は、悪いことをしてしまう人もいるので。
契約も通る世界ではないので、私が先導をきってガーナの為に立ち上げるというよりは、主人公はガーナの人達で取り組んでいくことが本望です。
大変なことばかりだけど、農家さんの感謝・一緒に描く未来に支えられて活動できています。
ガーナの方達が先導をきって、愛さんがサポートする体制を目指されているんですね!
「どんな小さなことも、大きな愛を持って」
愛さんの今後の展望についてお聞かせください! どんな人になりたいですか?
尊敬している方で、山口絵里子さんが理想です。
途上国から世界に通用するブランド「MOTHERHOUSE」を立ち上げ、バングラデシュで鞄作りの事業をしている方なんです。
「可哀想」という途上国への同情で1度や2度、製品を買って貰うのは、ずっと買って貰うことはできないと考え、現地の素晴らしさを伝えたい信念で、一流のブランドを創っていらっしゃるんです。
「可哀想」など心のどこかで上下関係をつくるんじゃなくて、「現地の人と共に、良いもの造って、その価値を誇り高く伝えていける」同時に、「現地の人達の素敵な人柄も伝える」そんな女性の起業家になりたいと思います。
国際協力に興味のある学生に対して、一言お願いします!
大きな事をやろうと思わなくても、小さな事でも気持ちを込めて取り組んで欲しいです。
私自身、今の活動をしていて体感することがあります。
「どんな小さなことも、大きな愛を持って」というマザー・テレサの言葉があるんです。
私自身もこの言葉を大切にしています。
「現地で工場を造る」という大きな夢に向かって走っていても、現地で泥だらけになりながら土を掘っていることもありました。周囲の学生は、インターンに参加しカッコ良くてキラキラしているのに。
だけど自分のこういった未来をつくりたいということに対して、貪欲に信じ、現地の人に愛を持って行動し続けた結果、ありがたいことに今ではメンバーも増え会社も大きくなってきている。
だから、どんなに小さな事でも隣の人・身近な人に「ありがとう」と言ってもらえる行動ができたらいいと思っています。
貴重なお話、ありがとうございました!
これからも応援しています!頑張って下さい!
本記事の執筆者:かわちゃん
群馬県出身の大学4年生。ライター初心者ですが、読者の挑戦を後押し出来るような情報を発信していきたいと思います!よろしくお願いします!
(前編で)生産者・購入側の間に政府が入ることでブラックボックス化しているとのことでしたが、なぜそのような状況に陥っていまっているのでしょうか?
政府が入れば、安心して買い取れるように思いますが…。