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起業前に就職は必要か?起業家から学ぶキャリア形成の方法

いいねJAPAN株式会社編集長・新規事業開発コンサル/藤巻美雪

1986年東京都出身。大学時代は地域創生を研究するゼミに所属し、沖縄・北海道・長野の3拠点を中心に活動。地域創生について研究しても未解決に留まることに違和感を覚え、地域雇用を創ることを志す。大学卒業後、経営スキルを身につける為、約3年間正社員として外食系企業に勤める。27歳の時に飲食コンサルとして独立。28歳でベンチャー企業の取締役を務め、メディアの企画運営等に従事。2016年より、いいねJAPAN株式会社の立ち上げから参画。地方創生系メディア「いいね!JAPAN」の編集長やプロジェクトマネジャーを務めながら、社内外問わず新規事業開発に携わっている。その経験を活かし、若者の起業支援も行っている。


「無力感が原点」

かわちゃん

本日はよろしくお願い致します!地域創生の取組みを行っているようですが、そのきっかけを教えて下さい。

藤巻さん

地域創生を志したきっかけは、地域課題に対する自分自身の「無力感」「苛立ち」です。それを強烈に感じたのは、大学3年生の頃、現地調査のため沖縄を訪れたときのことでした。

辺野古基地の反対運動の真っ只中。最前線で奮闘する人達に話を伺う中で、知ることの重要性を感じつつも直接的な解決策を講じることのできない自分の無力感、そして自然環境という犠牲を厭わず、人間の都合だけを押し通す社会への苛立ちを感じました。

かわちゃん

地域課題に対する無力感が原点だったんですね。起業した経緯は、沖縄での問題解決のために自ら活動していくことが目的だったんですか?

藤巻さん

そうではなくて、地域で雇用を創り出せる経営者になりたかったからです。ゼミを通じ、様々な地域課題を目の当たりにしました。その中で見えてきたのは、「何を」するかではなく「誰が」するかでした。

地域内部の人たちが主体的に考え行動し、一丸となって奮起し、イノベーションを起こすこと。それこそが最も大切だと感じたんです。このような動きを促進させる役割を担いたくて、地域の雇用を創り出す経営者を目指しました。


「起業のための就職は必要ないと感じた会社員時代」

かわちゃん

学生時代からやりたいことが明確だったんですね。経営スキルを身につける為に、新卒で外食系企業に勤めていたそうですが、その目的は達成できましたか?

藤巻さん

経営感覚は身につかなかったです。というのも、3年間で店舗のマネジメント、マーケティング、新業態の開発等幅広い仕事させてもらいましたが、枠組みがある中での仕事と枠組みから創る仕事には、天と地ほどの差があることに独立後気づきました。

言わずもがなですが、経営者は後者。会社という枠組みの中でできるのは、前者だったなと感じました。専門知識は獲得できましたが。

かわちゃん

逆に専門領域の知識・社会人としての基礎以外で得られたことはありますか?

藤巻さん

会社員の苦悩ですかね。「個性を発揮する」ことを求められつつも、出る杭は打たれるみたいな風潮がありました

牧場に近い感覚ですね。柵の中は自由に動き回っても良いけど、柵の外に踏み込むこともその柵を壊すことも許されない、そんな雰囲気でした。柵を壊すことも試みましたが、数十年かけて作られた柵はビクともしなかったので諦めました。

藤巻さん

でも、そのおかげで既存の枠組みを壊したいと思っても準ずることを選んでしまう人の心理や、どんなにやる気と才能があっても潰されてしまう環境があることを身をもって体験できたのは大きかったです。この経験のおかげで人材教育への問題意識が高まりました。

しかし、起業自体には直接関係のないことなので、振り返ると3年間の経験は無駄ではありませんでしたが最短距離ではなかったと感じています。


「やりたいことが分からないならとにかく行動」

かわちゃん

会社を3年で辞めたのは元々決めていたんですか?

藤巻さん

決めていました。ですが3年経ったから辞めたというよりも、自分を失いかけていることに危機感を感じ、退職しました。会社員時代は目先の出世や成果を上げることに夢中になりすぎて、自分の人生をかけてやりたいことが分からなくなってしまいました。

藤巻さん

また社内環境も大きく影響していたと思います。先ほどの話と重複する部分もありますが、簡単には壊せない柵のようなものがあると思うところがあっても、真面目に向き合うと自分が持たない。なので、意欲的に取り組みつつも自分の意見を持ちすぎない、そんな日々を過ごしていたら自分の好きなものすら分からなくなっていました

かわちゃん

合わない環境に行くと自分を見失ってしまうんですね。分からなくなった状態からどう立ち上がったんですか?

藤巻さん

独立してすぐは自分の心がわからなかったので徹底的に行動しました。「ワクワクする」と少しでも感じたらとにかくやってみる、案件も選りすぐりせず何でもやりました。そこまでやるかと驚かれるほど(笑)

しかし、数年経って行動だけで得られるものの限界を感じ、しっかりビジョンと向き合うことを選びました。


「やりたいことは、仮説を立てて見つける」

かわちゃん

起業することが目的の人は起業するべきだと思いますか?

藤巻さん

それだけだと難しいと思います。ビジネスの基本は、誰かのお困りごとを解決することです。なので「誰の」「どんな課題」を解決するためにビジネスをするのか、それがある人は大丈夫だと思います。

起業する中でも注意が必要な人は、他者承認を求めすぎてしまう人です。従業員であれば、評価する人がいるので存在を認めてもらうことで給料が上がることもあります。しかし独立した場合、自分の存在価値云々よりもお客様のニーズに的確に応えられるかが価値に繋がってきます。

藤巻さん

明確でなくても良いので、方向性やキーワードだけでも定めることが必要だと思います。SDGsの中からピックアップしても良いし、「子育てママ」といった特定の人たちの課題を何とかしたいでも良いと思います。

かわちゃん

やりたいことがない学生がたくさんいます。その中で、キーワードから具体的な興味のある分野を特定するにはどうすればいいのでしょうか?

藤巻さん

「やりたいことは何か?」といったぼんやりとした問いかけでは、答えが無限にありすぎて迷走してしまうことが多いです。だからこそ自分の興味のある分野やキーワードを元に「仮説」を立てるんです

例えば、「これからの教育はどうあるべきか?」ではなく、「これからの教育に必要なのは自主性ではないか?」というように。

藤巻さん

こうして自分の中で具体的な仮説を持って行動すると具体的なフィードバックが返ってきます。仮説が違ったり、意外にモチベーションが上がらないこともありますが、何が違うか具体的にわかると何が良いのかのヒントにもなります。

かわちゃん

仮説をもって実験する感覚ですね!

藤巻さん

そうですね。一発で「正解」を見つけようとしたり、誰かに「正解」を求めるのではなく、自分の頭で考えて自分の中で確からしい答えを創っていく、そんなイメージです。

かわちゃん

最後に学生に一言お願いします!

藤巻さん

起業したいなら、真正面から向き合ってみて欲しいです。周囲の人間の中には、批判する人も現れるかもしれません。ですが、新旧のパラダイムが混在している現代においては今の常識を疑うという視点も必要だと私は思います。なので社会や価値観に違和感を感じたら、その自分の感覚を無視したり、否定したりしないでほしいです


本記事の執筆者:かわちゃん

群馬県出身のかわさきです。記事を通じ、学生一人ひとりが「らしい」キャリア築けるきっかけになればと思います。よろしくお願いします!