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【ウガンダで養鶏場を経営】FunのFanであれ!「自分の中」に面白さを追求する起業家にインタビュー


 「10円ください!!」斬新なアイデアで始まった街頭募金、クラウドファンディング。大学2年生で東アフリカのウガンダへ行き、孤児院で養鶏場を経営した。世界を視野に入れつつ、大学卒業後には幼児教育に携わる会社を立ち上げて活躍する石崎陸さんにインタビューすることが出来ました!

世界が世界に伝えるメッセージ クラウドファンディングの詳細はこちら


石崎 陸さん

関西大学文学部卒業。高校でイタリア1年留学を経験。大学ではアフリカのウガンダで孤児院の運営自立を目指して養鶏事業を開始文部科学省トビタテ留学JAPAN8期生として再度、ウガンダに半年滞在。大学卒業後、幼児教育事業を手掛ける合同会社Fuanを設立


なぜウガンダに?


イタリア留学
イタリア高校留学中の1枚
ゆうき

 本日はよろしくお願いします!
 石崎さんの紹介文を読んで、今までのご活躍ぶりに驚かれる人も多そうですが…!まず、どのようにしてウガンダに興味を持たれたのか教えてください。

石崎さん

 よろしくお願いします!
 ウガンダを知ったのは、高校2年生でイタリアに留学した時です。ホームステイ中に近所のスーパーに行ったら、物乞いをしている男性に出会いました。その人は私に「君はどうしてイタリアに来たんだい?」と聞いてきたので、「イタリアの文化を学びに来ました」と答えたんです。そうしたら男性は、「俺は地元のウガンダで生活困難になったから、仕方なく出稼ぎでここに来たんだよ」と。もともと貧困問題に興味があった私はこの時、ウガンダという国を知ると同時に貧困が生まれる原因は、仕事が与えられないことにあるのだと気づきました。

ゆうき

 なるほど…。高校生の時点で、自身のキャリアに影響する出会いがあったんですね。しかも海外で!それで、大学生になってからどのようにしてそのウガンダに行く機会を作り出したのですか?

石崎さん

 偶然にも、所属していたコミュニティにてウガンダの孤児院でボランティア活動をしたことがある人と知り合ったんです。これは運命だと感じ、その人と2人で協力して、「ウガンダの孤児院の運営自立を目指して養鶏場を建てよう」というプロジェクトを立ち上げました。


プロジェクト実行までの流れ

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ゆうき

 奇跡的ですね!ところで、どうして「養鶏場」なのですか?

石崎さん

 鶏を選んだ理由としては、成長が速いからです。私も限りある時間の中で建設・経営をしなければならなかったので。あとは、豚や牛という案も出たのですが、宗教上の問題から見込みがないと判断しました。

ゆうき

 養鶏場のプロジェクトを立ち上げてから、具体的にどのようにして資金を集めて行ったのですか?

石崎さん

 クラウドファンディングと、街頭募金で集めました。最終的には、3~4カ月で120万円集まりましたね。

ゆうき

 個人的な感覚ではありますが、街頭募金で募るのは非常に難しいイメージがあります…

石崎さん

 そうなんですよー。よく見ると思うんですけど、街頭募金を行っている人たちは大きな声で「○○のために募金お願いします!」って説明しながら呼びかけていますよね。

でも実は、街の人の多くは見もしないし聞いていないことに気付きました。「それなら別に説明しなくて良いか!」と思い、活動内容を説明しない募金を思いつきました。

ゆうき

 活動内容を説明せずにどうやって人々にアプローチしたんですか!?

石崎さん

 「10円ください!!」といってアピールしました(笑)
 ポスターやパネルなどは一切使わず、とにかくたくさんの人に話しかけました。
そして、「え~10円かぁ。あるかなぁ?」と財布をごそごそしている間に「私はウガンダで養鶏場を建設するんです!」と説明をしました。すると、それならもっと協力したいと言って1000円寄付してくれる人も出てきました。そのあとは孤児院の人と連絡を取りながら、大学2年生の3月に1か月間訪問することが出来ました。

ゆうき

 なんて革新的な活動!私も、募金に協力したい気持ちがあっても、一瞬、寄付する金額に迷ったりします。。
 でも、「10円ください!」と言われたら、「なんで?」から始まって必ず話に耳を傾けますよね!!


念願のウガンダへ

ウガンダでの1枚
ウガンダでの1枚
ゆうき

 石崎さんの見事な発想で資金を集めることが出来たんですね。
 無事出発できた 1回目のウガンダ訪問では何をしたのですか?

石崎さん

 1か月間ひたすら養鶏場の建設をしていました。もう、草を刈るところから!孤児院には外部から来た人が泊まれる部屋があって、そこで生活しながら作業しました。資材が売っている都心からは車で1時間半ほどだったので、資材費や交通費をやりくりしながら無事完成までもっていきました。


2回目のウガンダ訪問

石崎さん

 1回目の滞在は1か月のみでしたが、今度は文部科学省のプログラムで大学3年生の8月から半年間、また同じ孤児院に行きました
 次のステップとしては、ひよこを200羽仕入れるところから始まりました。ひたすら餌をあげて育てるのですが、餌代の変動が激し過ぎて苦しみました。雨が降るか降らないかで作業に大きく影響するような環境だったので、資金も途中でなくなってしまい貸し付けに頼る状態でした。
 最初は損ばかりでしたが、3か月ほど経ってからは成長した鶏の卵を売ったり、クリスマスシーズンをめがけて10月から育てていた鶏の肉を売ったりして、なんとか立て直すことが出来ました。

ゆうき

 経歴だけを見れば何事も順調に進んだように感じますが、当然、うまくいかないことばかりだったと思います。孤児院には子どもたちもいたんですか?

石崎さん

 そうですね。17人くらいいました。毎日一緒に畑仕事をしたり、水を汲みに行ったりしました。子どもたちは水が入った重いバケツを頭の上に乗せて平気で20分歩いたりするんです。いつも私だけがへとへとになって(笑) 
 自分の方が子供たちから色々なことを学んだと思っています。

ゆうき

 ボランティア活動と聞くと、現地の子たちに日本の文化を教えてくるというケースが多いように感じていましたが、現地の子どもから学んだことがあると言えるのは素敵なことだと思います。

石崎さん

 うーん。確かに、日本の文化をPRするというのも一つだとは思いますが、行き先が先進国ならいくらでもPRすると思います。でも、私が行ったような発展途上国では、日本文化の紹介よりも先にやることが沢山あると思います。彼らの住む地域で折り紙を教えたくても、紙が手に入らないからね。


帰国後にまさかの出来事が…!


ゆうき

 現地での事業は短期間ではありましたが、石崎さんたちのおかげで孤児院は今も豊かになっていっているのですね!

石崎さん

 それが、私たちが帰国してすぐに駄目になっちゃったんですよ。
現地で経営を手伝ってくれていた青年が鶏を盗んだそうで(笑)
 もう今は、事業も回ってないと思います。

ゆうき

 ええ! そ、それを知った時はどのような心境でしたか…?

石崎さん

 うーん。まあ、自分が雇われている側の現地の人の立場だったら…と考えると、そりゃそうなるよな~。と思いました。それだけしんどい環境での生活が強いられていましたから。そこまでダメージはなかったです。募金やクラウドファンディングで支援してくださった皆様のおかげで出来たプロジェクトでしたから、資金の使い道を考えた時に、一度ストップすることに決めました。

 経営自体はとてもいい経験になったと思っています。

ゆうき

 そうだったんですね…。改めて貧困問題について考えさせられます。


日本の教育を変えたい。幼児教育に関わる会社を起業!


起業
ゆうき

 起業についてお伺いします。このウガンダでの経験から、会社を立ち上げたいという夢を持つようになったんですか?

石崎さん

 起業に関しては、もうずっと前から考えていました。人によって向き不向きはありますが、私は誰かに指示されて動くだけの仕事が苦手だったので必然的に自分で動こうという判断になりました。
 学生時代、アルバイトで中華料理屋の厨房にいたとき、「どうして今自分は人生に関係ない、担々麺のことなんかを考えなければいけないんだ…?」という疑問に陥っていました(笑) 自分の脳を奪われたくないという感覚に近かったと思います。

ゆうき

 担々麺(笑) それで、大学を卒業してから合同会社を創業したということですが、そのきっかけや経緯を教えてください!


幼児教育を豊かにしたい!


石崎さん

 昨年12月に「FunのFanであれ!」をモットーに、合同会社FUANを立ち上げました。こちらは、幼児教育に関わる事業を始めようと思っています。

 私はもともと日本の教育の現状を変えたいと考えていました。そのために、まずは現場を知る必要があると思ったんです。子どもが好きだったので、ウガンダから帰ってきた後の1年間で保育園でアルバイトと小学校のボランティア活動に携わりました。

ゆうき

 日本の教育の現状を変えたいということで、幼児教育にフォーカスした理由はありますか?

石崎さん

 人間の価値観の大部分って、幼稚園くらいの幼少期に形成されると思っています。
 そして、人は4~5歳の時に「真ん中」という抽象的概念を知ります。
 例えば、目の前に木の枝がたくさんあったとして、『長い枝と短い枝に分けましょう』と言われたら、それは3歳児でもできます。これが4∼5歳から、『長い枝と短い枝と、中くらいの枝に分けましょう』という指示を聞いて、枝を判別することが出来るようになっていきます。


 現在、世の中のほとんどが『真ん中・中くらい』のようなとても抽象的な概念だと思います。この抽象的概念に初めて出会う時期に、周りの環境が豊かであればいいという考えから、幼児教育の改善に取り組むことを決めました。


起業することのやりがいや魅力


COMPUTER

起業に向いている人とは?


ゆうき

 養鶏場を経営したり、起業したりして、まさに周りの人から憧れられる存在ですね!他の学生から起業したいという相談を受けることとかはありますか?

石崎さん

 結構ありますよ!
 私は、相談されたらまずは「起業して何がやりたいの?」と聞きます。特に明確な理由がなくて、ただなんとなく起業してみたいと思っている人というのは、いくらお金があっても使わないで貯めるタイプの人だと思うんです。 

お金を使って何か新しいことをする、人助けをする、それが企業価値だと思っているので、貯めて自分で使いたいならちょっとズレているような気がしますね。

 お金が欲しいという思いなら、起業して驚くと思います。1円稼ぐことがいかに難しいことかを学ぶので。「これがしたい!」という目標がしっかりしている人が、起業するのに向いているのではないかと感じます。

ゆうき

 明確なビジョンがないと、あふれんばかりのお金があったとしても使わない、、確かにそれは十分あり得る気がします。


責任と自由はセット


ゆうき

起業を目指している人に伝えたいメッセージはありますか?

石崎さん

 私は、責任と自由はセットだと思ってます。 
 起業したら多くのタスクに縛られると思うんですけど、自分で責任をとるからこそ、自由にやれるということです。100万円でつくった会社で100万円の使い道を決められるのは、会社を建てた人ですから!


そんな石崎さんの将来のビジョンは?


ゆうき

 貴重なお話をありがとうございました。
 最後に、今後の目標や将来のビジョンについて教えてください。

 まずは今年、『世界が世界に伝えるメッセージ』という写真集を出版します。これは、世界10カ国63人の人達からいただいた、世界に発信したいメッセージをまとめたものです。
 2月末までクラウドファンディングを行い、今年の7月頃に発売予定です。
世界が世界に伝えるメッセージ クラウドファンディング


 将来は、幼児教育に関わる施設やイベントをつくること、そして最終的には保育園を建てたいと考えています。

 そして、世の中を、『自分の中に面白さをもつ時代』に変えていきたいという夢があります。「学校が楽しくない」「この仕事はつまらない」などは全て、環境側に面白さを求めてしまっているということです。自分を楽しませるのは、環境ではなく自分自身です。僕はウガンダで活動した時も、起業した時も、自分の中で面白さを見つけ出すことだけは必ず軸として持っていました。 自分ベクトルで物事を考えられる人が増えていく時代にしていくために出来ることは何かということを常に考えていきたいと考えています。

クラウドファンディング
「世界が世界に伝えるメッセージ」クラウドファンディングクラウドファンディング

おわりに


 今回インタビューさせていただいた石崎陸さんに、私は「海外での起業は考えなかったのですか?」と尋ねました。それに対し、「自分が今こうして生きているのは日本のおかげ。生まれ育った素敵な国がこのまま終わっていくのは良くないし、自分がアクションを起こすことで日本を助けたい。大きな会社に就職したらそれが出来ないから、起業した」と答えをいただきました。幅広く挑戦しながらも、ブレない自分ベクトルの軸を持つ石崎さんを応援し続けます!

 マイウェイ部では、起業家インタビュー特集を発信しています。現役大学生の「カカオ革命を起こす学生起業家」インタビューは前編・後編あわせて読んでいただきたいです!


執筆者 ゆうき

千葉県出身、大学3年生。スペイン語学を専攻しています。趣味はダンスと書道で、現在は社会に出た際に直接活かせるSNSの運用について勉強中です。マイウェイ部ではライターとして記事の執筆をしています。