グローバル化が進んでいる中、もはや英語だけでなく、中華メイクや華流ドラマなどの影響で、日本では、中国語学習者も増えています。「せっかく学んだことを形にしたい!」「資格で一目置かれたい!」など様々な目的を持っている中国語学習者のために、今回は日本で受けられる中国語能力試験の違いや受験の流れについて、じっくり解説していきます!
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日本で受けられる中国語能力検定試験
日本で受けられる中国語能力を図る試験が主に中国語検定試験(中検)と漢語水平考試(HSK)の2つがあります。どちらの試験を受ければ良いのか、迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。今回は2つの試験の違いについて、詳しく解説していきたいと思います。
中国語検定試験(中検)とは
まず、中国語検定試験についてです。こちらは一般財団法人 日本中国語検定協会により、作られた試験です。日本独自で作成された試験のため、受験地も日本のみとなっています。
漢語水平考試(HSK)とは
一方、漢語水平考試(HSK)は中国政府教育部 孔子学院总部/国家汉办 により作られた試験です。こちらは中国政府により作成され、試験も世界の各地で受験可能です。
試験名称 | 主催者 | 受験地 |
中国語検定試験(中検) | 一般財団法人 日本中国語検定協会 | 日本 |
漢語水平考試(HSK) | 中国政府教育部 孔子学院总部/国家汉办 | 世界各地 |
難易度と出題形式
では、中検とHSKの試験の難易度や出題形式には、具体的にどのような違いがあるのでしょうか?
難易度
まず、中検も、HSKも、英検や簿記検定などのような検定試験は、3級、2級のように、いくつかの級で分かれています。ただし、級の数え方が違うことにご注意ください。
中検は準4級、4級、3級、2級、準1級、1級、と数字が若くなるほどにつれて、難易度が増していきます。
一方、HSKは1級、2級、3級、4級、5級、6級、と数字が大きくなるほどにつれて、難易度が増していきます。
どちらの受験を申し込む際にも、級やレベルにご注意ください!
中検・HSKの対比表
(引用元:study Chinese with 樹樹)
試験時間と出題形式
中検は基本的にリスニング問題・筆記問題の2種類により成り立つ試験です。例外として、準1級と1級には二次試験として面接が追加されます。しかし、受験するにはリスニング問題と筆記問題による一次試験を合格する必要があります。まずは、一次試験に合格できるようにしましょう!
リスニング問題は基本的に選択式の四択問題が大問1と大問2で出題されます。ただし、準1級と1級では、大問2の部分が「放送される中国語に基づいて、指定された 5 か所を漢字で書き取る」という問題に変わってしまうことにご注意ください!
そして、筆記問題には選択式の四択問題と記述式の翻訳問題の2種類があります。級が上がっていくことにつれ、翻訳の難易度も上がっていき、翻訳する文章も長くなっていきます。もちろん、試験時間も長くなっていきます。
こちらが試験時間の一覧表です!
リスニング | 筆記 | 試験時間 | |
1級 | 四択+聞き取り | 四択+記述 | 120分(一次試験)+30分(二次試験) |
準1級 | 四択+聞き取り | 四択+記述 | 120分(一次試験)+15分(二次試験) |
2級 | 四択 | 四択+記述 | 120分 |
3級 | 四択 | 四択+記述 | 100分 |
4級 | 四択 | 四択+記述 | 100分 |
準4級 | 四択 | 四択+記述 | 60分 |
「とりあえず、問題をやってみたい!」「出題形式が気になる!」という方もいますよね?
そんな方々に朗報です!中検の過去問は公式サイトで見ることができます。
気になる方は日本中国語検定協会をご参照ください!
次にHSKの方を見てみましょう!
HSKはリスニング問題と筆記問題によって成り立つ試験です。一見、中検と同じように見えますが、面接のような二次試験がないのが中検とHSKの最大の違いです。では、リスニング問題と筆記問題はどうでしょう?
HSKのリスニング問題は級にかかわらず、全て選択式の四択問題です。自分が出す答えにあまり自信がない人にとって、選択式の問題はなかなかにやりやすいほうではないでしょうか?筆者自身も、受験する際にリスニングが全て四択問題だと聞いて、「なんとかなる!」と思わずほっとした一人です。(笑)ただし、音声が放送されるのは一回のみとなっているため、試験本番では、やはり気を抜かずに、注意深く聞くようにしましょう!
筆記問題はというと、読解問題と作文問題の二種類があります。
読解問題は四択問題と五択問題があって、どちらもきちんと文章の内容が把握できていれば、大して難しいものではありません。ただし、一見どれも間違いではなさそうな回答を選択肢として、出題されるため、間違った選択肢につられないように、問題を解くようにする必要があります!ちなみに、筆者は不安すぎて、時間も余ったため2、3度読むようにしました(汗)
一方、作文問題は3級から出される問題で、級が上がっていくことにつれて、難易度が増していきます。文を正しい順序に並び変えたり、掲示された単語に基づいて、文を作る問題から、出された文章を400字以内で要約する問題と徐々に難しくなっていきます。
もちろん、難しくなっていくのは問題だけではなく、試験時間も長くなっていきます。
こちらが試験時間と内容の一覧表です!
リスニング | 筆記 | 試験時間 | |
6級 | 四択35分 | 読解50分 作文45分 | 130分 |
5級 | 四択30分 | 読解45分 作文40分 | 115分 |
4級 | 四択30分 (放送1回) | 読解40分 作文25分 | 95分 |
3級 | 四択35分 (放送2回) | 読解30分 作文15分 | 80分 |
2級 | 四択25分 (放送2回) | 読解22分 | 47分 |
1級 | 四択15分 (放送2回) | 読解17分 | 32分 |
残念ながら、HSKの過去問は公式サイトでは公開されておりません…
公式によって、毎年出された問題を書籍として、販売しております!「過去問を解いて、試験の対策をしたい!」という方は、本屋や書店で販売されている「中国語検定 HSK 公式過去問集」をご購入して、試験対策に臨んだほうがおすすめです!
ただし、公式サイトでは、受験を考えている方々のために、レベルチェックとして、サンプルテストが無料公開されています!
もし、「どの級を受けたらいいかわからない!」「今の自分がどれくらいできるかを知りたい!」という方は、レベルチェックテストを受けてみてください!そして、具体的に何級を受けるか、どの級の過去問を買って試験対策するかどうかなど、決める目安としてぜひ利用してみてください。
レベルチェックテストはこちらから!
どちらを受験すれば良いのか?
結論から言うと、受験の目的と今後活躍したい場所で判断して、受験に申し込む方が損はないです。
受験の目的で判断
まず、受験する目的で判断すべし!もし、中国留学を考えているのでしたら、HSKを受けるほうがおすすめです。上記でも書いたように、HSKは中国政府公認の試験で中国だけでなく、世界各地の中国学習者が受験するほどメジャーな試験です。中検は日本独自で作成された試験のため、日本では比較的に知名度はあるが、中国での知名度が低いです。そして、HSKの5級や6級に合格すると、中国留学がさらにお得にできる奨学金にも申請することができます。
今後活躍したい場所で判断
次に、今後自分が活躍しようと考えている場所で判断すべし!中国の企業で活躍しようと考えているなら、中国で知名度の高いHSKを受験することをおすすめします。一方、日本の企業に就職する際にアピールポイントとして、日本では知名度の高い中検を受験することをおすすめします。
シンプルにまとめると、中国や中国企業で活躍したい人ならHSK、日本や中国にある日系企業で今後働いていく方なら中検を受けましょう!
まとめ
ちなみに、中検の公式サイトでは、「中検」と「HSK」について、以下のように言及されています。「中検」は,中国語読解及び聴解能力のほか翻訳能力を問うものです。
「HSK」は,中国語による設問に中国語で答えることを求め,中国語の運用能力のみを問うものであり翻訳能力は問われておりません。
したがって,中検は日本の企業での活躍を目指す方,HSKは中国の大学本科への留学や中国企業で活躍を目指す方に適していると言えるでしょう。
以下が中検とHSKの見比べ表です。
中国語検定試験(中検) | 漢語水平考試(HSK) | |
主催者 | 一般財団法人 日本中国語検定協会 | 中国政府教育部 孔子学院总部/国家汉办 |
受験地 | 日本全国主要都市・台北・シンガポール ※準1級と1級の面接は東京と大阪のみ 受験者多数の場合,上海でも実施あり | 日本全国主要都市・中国本土・世界各国 |
対象の学習者 | 日本人学習者 | 世界中の学習者 |
合格基準 | リスニングと筆記それぞれに合格基準点がある | 全体で6割以上 |
問われる能力 | 読解及び聴解能力のほか翻訳能力 | 運用能力のみ |
試験日程 | 年3回(3月、6月、11月) ※1級は11月のみ | 年最大12回 ※試験会場によって異なる |
公式サイト | 日本中国語検定協会 | HSK日本実施委員会 |
執筆者 あきこ
中国生まれで現在東京に住む大学3年生。中国語を極めたい一心で、大学の専攻も中国語。ゼミでは中国語の長編小説を卒業研究として翻訳中。趣味は歌うことと風景の撮影をすること。マイウェイ部ではインターンとして記事執筆中。
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